私を探さないでください

皆様へ

彼女はどこかにいる。
だけど、どこにいるのか分からない。
絶対にいるのだけれど。
世界はその心と繋がっているはずなのに。

彼女は隠れているのだろうか?
それとも見る者の目に映らないだけなのか?
彼女は本当に本当にそこにいるのに。
まるでいないかのようなのだ。
彼女の心の中は豊かに波打っているのに。
涼やかな風だけが彼女の周りを巡っているから。
気を付けていないと、見つけることが出来ないのだ。
きっときっとそうなのだ。

彼女には時間が流れていて。
それは世界と同じ時間のようでいて、同じ時間ではないのかも知れないけれど。
けれど、朝の時間が巡ってくると東から太陽が昇ってきて。
夜の時間が巡ってくると、草木の葉は夜露に濡れて。

哀しみの時は涙を流し。
喜びの時は笑みが零れ。
怒りの時は顰蹙し。
楽しみの時は瞳が輝き。

そんなふうに彼女の命は脈動しているのに。

しかし、彼女を見つけることは出来ない。

誰か彼女を探してください。
きっと、恐らく、彼女はとても大切な人だから。
本当はぼくが見つけなければならないのだけれど。
ぼくの心がまだ彼女と繋がっていないようなので。
どうかそんなぼくを助けてください。

彼女の居場所を教えてください。

彼女を探している僕より

 

 

私を探しているあなたへ

私はどこにもおりません。
あなたが探している私は、私ではありません。
あなたが探している私は、あなたの頭の中でだけしか生きられないのです。
私は私であってあなたが探している私はこの世のどこにも居ないのです。
だから、どうか探さないでください。

あなたが探している私より

2015年2月25日の呟き その2

叫び声を上げようとする時に。

声が無いことに気づく。

張り裂ける思いを、心の中に押しとどめておこうとすると、気がおかしくなってしまいそうになるから。

誰か助けてと叫び声を上げたいのだけれど。

私の声は、私の真心と一緒に、愛するものに捧げてしまい。

愛するものはこの世にいなくなってしまったので。

今の私には、愛するものも、声も、ない。

こんな時に唄う歌があったはずなのに。

歌を唄うだけの、愛も声も無くなってしまった私の心の中は。

暗い空洞の奥から恐ろしい獣の声が響いてくるのを。

怖いから恐ろしいから誰か助けてと叫びたかったのに。

永遠に続くかも知れない叫びを。

永遠に叫び続けた時。

それはもしかしたら無限に続く地獄だったのかも知れないので。

私には声が無くて良かったのかも知れないと思ったりもする。

それでも恐ろしい獣の声が聞こえ続けるので。

私は永遠に声の無い叫び声を上げ続けている。

 

 

2015年2月25日の呟き

私は、私が話すはずだった言葉を失ってしまった。
その、私が話すはずだった言葉は今どこにあるんだろう?と思う。

私が話すのをやめてしまった時に泡となって消えてしまったのか。

それとも、誰かが私の代わりにその言葉を話しているのだろうか。

人は必ず、何かを失った時に何かを得ていて、何かを得た時に何かを失うと言うけれど。

その言葉を失った時に、私は何かを得たのだろうか?

人は過去に帰ることは出来ず、未来を先取りすることも出来ず、ただ今という時の中でユラユラ揺れているしかできないのだけれど。

何を失ったのかさえも分からないまま、ぼんやりと時計の針だけを見ている時に。

理由のない悲しみに、支配されそうになる。

その言葉を失った時に同時に失ったであろう未来を思うとき。

取り返しのないことをしてしまったという苦々しい思いを噛み締めてみたりもするけれど。

何を得たのか自覚もないその何かが、そのうち萌芽することに期待してみるような、そんな脇の甘さを、自嘲したりもして。

期待なんて。

期待、などという甘酸っぱい感情に、何度踏みにじられて心をズタズタにされたか分からないのに。

一体何度、割れてしまった心の破片を泣きながら、一つ一つ拾い集めたのか。 ビリビリに千切れてしまった心の絹を縫い合わせたのか。

なのに。

暮れていく夕陽が再び登ってくるときには朝陽であるように。

明日という未来は、期待してもしなくてもやってきてしまう。

その明日という未来に、私の新しい言葉を見つけることはあるのだろうか?