松井須磨子に関する覚え書き その1

Twitterの泉鏡花からの流れで、松井須磨子に思いが行き、あれこれ思い出したので此処に記しておく。

松井須磨子は大正時代に亡くなった人で、当然私は直接会ったことはない。
新劇(西洋型近代演劇)の女優第1号であり、美容整形した女優1号であり、日本で最初に挿入歌を唄った女優でもあるらしい。

私の祖父は須磨子の実家である小林家から私の実家へ里子に出された人だという。
当時は珍しいことではなかったのだろう。須磨子も一度養子に出されていたようだ(wiki参照)。
小林家と私の実家との関係は覚えていない。
祖父は須磨子の甥と言う事になるらしい。
祖父の名前は日象(じつぞう)という。生年は今分からない…1950年代に亡くなったと聞いたような。また、鳶職だったと聞いている。

私の母の家は事情が複雑で此処には書かないが、その祖父を父として8人の子供、男、女、女、女、女、女で私の母は上から4番目で三女、下の2人は戦時中に亡くなったという。
昔は小林家とのやりとりがあったらしく、母の一つ上の姉(次女)私の伯母は風月堂の親戚とも会ったことがあるという。
その伯母からよく「中野のおばさん」という人物のことが出てきたし、冠婚葬祭の時にお目にかかったことがあるが、確か、小林家とは関係がなかったように思う。もう亡くなっているだろう。伊豆だか伊東だかにも母方の親戚がいたと思う。

なので我が家が松井須磨子と縁のある家であることは主に伯母の記憶によるものである。
なぜか年齢がいくつも違わない私の母は全く覚えてないという。
次女である伯母が一家を切り盛りしていたようだ。
戦時中は貧困でパン屋でパンの耳をもらってきて食べたのだという。
私の母は、一番下の弟は、お金がなくて病院にも行けず、そのために死んだのだとよく嘆いていた。
六女の泰子は空襲で亡くなったという。

松井須磨子がテレビに出たり、映画になったり、本になったりすると、従姉妹などから「あれ、観た?読んだ?」等という話が出て、「そのビデオ貸して」という話になったりする。

渡辺淳一の「女優」を読んだときには、描かれている須磨子の性格が私の母とソックリなのに驚いた。
私の母に会ったことがあるのかと訊きたい位だった。
もしかしたら何処かで見かけたことくらいはあったのかもしれない。
私の母は昔、青山通りで美容院を経営しており、平尾昌晃が上がり込んできて炬燵に当たっていたという。
美容院が流行っているときには何人かの芸能人が常連だったし、山口小夜子や市村正親なども店の中に入ってきて買い物をしていったこともあった。

一度、正月明けてすぐに母が突然半狂乱になったことがあって、私には何が何だか分からなかったが、本人も全く理由が分からなかったらしい。
その時、急に思い立って調べてみたらまさしく須磨子の命日であった。

また、私が急に女優を志し、マクベス夫人を演じたい、人形の家のノラを演じたい!と思っていたある日、その両方が須磨子の演じた役だった事を知ったのが、お彼岸の中日だったりして、ゾクッとした事もあった。

小説「女優」を読む限り、エキセントリックな気性だったのだろうと想像し、直接血がつながっている自分としては、むしろあまり触れたくない部分で見て見ぬふりをしたい気持もあったけれど、どうやら、逃げていると追いかけてくる種類の”何か”なのかもしれない。
なのでがっつり書いておこうと思った。
志半ばで亡くなったであろう人なだけに、私にとっては「四谷怪談」のあの方と同じ位、畏敬の念をもたねばならない存在である。

果たしてその2があるかないか。
何か思い出すことがあったらまた書いていこうと思うが、今のところは、これが全部だ。

松井須磨子Wikipedia

同時代の女優としては川上貞奴がいて須磨子よりも15歳年上。
1899年に川上音二郎一座のロサンジェルス公演で急死した(一部では男性が女性を演じることを拒絶されたためとも)女形の代わりに女優デビュー。
生年が1871年なので28歳の時か。
須磨子が芸術座で女優として初舞台を踏んだのが1911年。
なので、日本の女優第1号は川上貞奴で、須磨子は新劇女優第1号となる。
須磨子が女優デビューしてまもなく川上貞奴は引退しているようだ。

 

※関連LINK
http://www.houan.jp/company_matsuisumako.html
http://ameblo.jp/skyblue-junior/entry-12171547368.html
http://diamond.jp/articles/-/41264
http://www.shashosha70.com/entry/2016/08/18/%E6%BC%94%E5%8A%87%E3%80%8E%E6%9D%BE%E4%BA%95%E9%A0%88%E7%A3%A8%E5%AD%90%E3%80%8F
http://risoukai.com/saitama/index.php?key=joi67b7c9-56
http://w2.avis.ne.jp/~khmasako/index.html/sumako.html