私を探さないでください

皆様へ

彼女はどこかにいる。
だけど、どこにいるのか分からない。
絶対にいるのだけれど。
世界はその心と繋がっているはずなのに。

彼女は隠れているのだろうか?
それとも見る者の目に映らないだけなのか?
彼女は本当に本当にそこにいるのに。
まるでいないかのようなのだ。
彼女の心の中は豊かに波打っているのに。
涼やかな風だけが彼女の周りを巡っているから。
気を付けていないと、見つけることが出来ないのだ。
きっときっとそうなのだ。

彼女には時間が流れていて。
それは世界と同じ時間のようでいて、同じ時間ではないのかも知れないけれど。
けれど、朝の時間が巡ってくると東から太陽が昇ってきて。
夜の時間が巡ってくると、草木の葉は夜露に濡れて。

哀しみの時は涙を流し。
喜びの時は笑みが零れ。
怒りの時は顰蹙し。
楽しみの時は瞳が輝き。

そんなふうに彼女の命は脈動しているのに。

しかし、彼女を見つけることは出来ない。

誰か彼女を探してください。
きっと、恐らく、彼女はとても大切な人だから。
本当はぼくが見つけなければならないのだけれど。
ぼくの心がまだ彼女と繋がっていないようなので。
どうかそんなぼくを助けてください。

彼女の居場所を教えてください。

彼女を探している僕より

 

 

私を探しているあなたへ

私はどこにもおりません。
あなたが探している私は、私ではありません。
あなたが探している私は、あなたの頭の中でだけしか生きられないのです。
私は私であってあなたが探している私はこの世のどこにも居ないのです。
だから、どうか探さないでください。

あなたが探している私より

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