叫び声を上げようとする時に。
声が無いことに気づく。
張り裂ける思いを、心の中に押しとどめておこうとすると、気がおかしくなってしまいそうになるから。
誰か助けてと叫び声を上げたいのだけれど。
私の声は、私の真心と一緒に、愛するものに捧げてしまい。
愛するものはこの世にいなくなってしまったので。
今の私には、愛するものも、声も、ない。
こんな時に唄う歌があったはずなのに。
歌を唄うだけの、愛も声も無くなってしまった私の心の中は。
暗い空洞の奥から恐ろしい獣の声が響いてくるのを。
怖いから恐ろしいから誰か助けてと叫びたかったのに。
永遠に続くかも知れない叫びを。
永遠に叫び続けた時。
それはもしかしたら無限に続く地獄だったのかも知れないので。
私には声が無くて良かったのかも知れないと思ったりもする。
それでも恐ろしい獣の声が聞こえ続けるので。
私は永遠に声の無い叫び声を上げ続けている。