取材という形のハラスメント

-大坂なおみさんに関する記事を読んで個人的に思ったことをSNSに書いたものをまとめます。

なおみさんの気持は、分かるような気がします。(私も取材が苦手)
だったら棄権というのも理解出来ます。
わがままではないと思う。
自分の属性を代表する存在になってしまうと何を発言すべきなのか大きなプレッシャーになると思うし。
真面目すぎるほど真面目であるが故の判断だと思います。


取材する側は、時に取材対象が失言するような質問を選んでしてくるし。
それは面白いコメントになるかもしれないけど取材対象を傷つけることになるということを分かって欲しい。
誰か信頼できるスポークスマンが立てられると良いのになと思います。


未だ男性優位で黒人差別が色濃く残るこの社会で、彼女がどんな質問を受けてきたのが想像しました。
ちょっと考えるだけで胸が苦しくなる。
たかが私ごときでさえ、女性の映画監督というだけで「何故あなたにそんなことまで言われなくちゃならないのか」ということをたくさん言われてきました。


取材者側の(時に無礼な)質問というのは、公になるときに残らず、取材対象の失言だけが公表されるのです。
アスリートにせよ、アーティストにせよ、そのパフォーマンスだけを応援してあげて欲しいと思う。


取材を受けることで認知度が上がり、自分の作品を多くの人に届けられるようになることは知っています。
だから取材は受けない、とは言えない。
しかし、たいていの場合自分の真意が伝わらないことの方が多いというのが実感です。
そのメリットデメリットを計算したりはします。
打算と言われそうですね。
真面目すぎて自分を壊していくよりは良いとは思います。

と、ここで、渥美志保さんという記者の方からご質問を頂きました。
例えばどんな質問に「無礼」を感じていらっしゃるのか、取材する側の興味として知りたいです。もし、可能なら。

私の場合はほとんど嫌がらせに近いものが多かったので普通のインタビューでしたらそれに当たらないと思います。例えば「こんな学芸会みたいなものを、お金を取って見せても良いと思うのですか?」とかでしょうか。撮影現場での質問でしたけれど。(つまり作品はまだ出来ていない状態)

「女子大生と名乗っていらっしゃいますが、たかが成城大学くらいで女子大生って言っていいんですか?」とかもありましたね。

もはや、質問じゃないですよね…笑

「女子大生を取材しに来たのに、テニスとかゴルフとか合コンに行かないと言うのでは困る。行ってることにしてください」と言われたことも。断りましたけど。ぶち切れられました。

取材が恐ろしくなって何も言わずにいたら、「お気持ち分かります。大丈夫です、悪いようには絶対しませんので、こっちで書いておいて良いですか?」と言われた週刊プレイボーイの記事は、むちゃくちゃ面白かったです。読んで爆笑しました。逆に感謝しています、笑

質問じゃないですけど、カメラマンに服を脱げって言われたこともありましたね。
春売りの号なのにセーターなんか着てたら写真撮れない、脱げって。
セーターの下には下着っぽいTシャツしか着てなかったので、いったんは断ったんですが、脱がないなら帰るって言われました。
取材を紹介してくれた人が同席してたんですが何も対応してくれなかったですね。
春服を着てこいとも言われてなかったし、男性だったら言われなかっただろうと思います。
脱ぎましたよ。思い出したくないですね。

ミソジニー案件とマウント案件と捏造案件が入り乱れておりますが、とりあえずこんなところだと思います。捏造でも面白ければ可、くらいのゆとりは持っているつもりなんですけれどね…。

ああ、でも、書けてよかったです。これを言わずに死んだら私化けて出てたかもしれません。記者の方には聞きづらい話なのに、ご質問までくださってありがとうございます。つまり、取材という形をとったミソジニーやヘイトというのが、ままあると言うことです。

渥美志保さん「そ、それはヒドイですね…。取材じゃなくて、単なるセクハラとマウンティングしたいだけの人達じゃないですか。そういうの、ほんと変えたいです。」

そうなんです、なのでなおみさんのお気持ちが少し分かると思っています。これを書いた後、白人記者による差別的な対応があったとネットで見ました。そういうことなんだと思います。

楽しい取材もありました。上に書いた週刊プレイボーイと、近代映画の取材は楽しかったです。近代映画の記者さんは撮影現場の記者達の態度が酷すぎると怒っていました。

渥美志保さん「ありがとうございます。すごく勉強になりました。私の知らないことが、世の中にはまだまだ本当にたくさんあるなと。ナオミさんの件同様に、隠していた不快感はどんどんオープンにしていかねばいけませんね。」

個人的なまとめ
ハラスメントというと強者から弱者に向けられるものと言われていて、取材者と取材対象はその逆ではないかと思われがちですが、取材対象になる側がマイノリティの場合は、これに当たらないと思います。むしろ社会的立場があるために自由に発言できないという足枷がある。それを利用して嫌がらせをするのは卑劣以外の何物でもないのですが、今これに抗うために何をしたら良いのだろうか。大坂なおみさんは試合を棄権するという方法を取ったのだと私は思います。

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